Love & Pain
Diablo 3 の制作が発表され、今さらながらに新規参入者が続々と生まれているばかりか、アメリカではネットゲーム売り上げ 1 位を記録してしまった Diablo 2 を飽きずにこなす日々を送っていますが、涼しい日々も過ぎ去り、暑さが本格的になってきた今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
第 3 回である今回は、助知奈(すけ・ちな)先生の「Love & Pain」をご紹介したいと思います。
これは、他のマンガと同じく、パステルではお馴染みの読み切り形式で 2007 年 11 月号に掲載された作品ですが、好評だったとかなんとかいう理由で、2008 年 1 月号、2008 年 3 月号にも続編が掲載されたという珍しいものです。
ところで皆さん、Love & Pain という題名から、どのようなストーリーをご想像なさるでしょうか? 普通、Love & Pain という文字を見たら、愛につきものの精神的な痛みを想像してしまうのではないかと思います。あるいは、昨今のトレンドに鑑みて、DV の話ではないかと勘繰ることもできます。
しかし! 助先生はそんな角度から攻めてはきません。本作のヒロイン琴実ちゃんは、なんと、男性の視線を意識するとおなかが痛くなってしまうのです!! こんなド直球の pain を誰が想像し得たでしょうか。さすがパステル、意表の突き方が違います。そんな女がホントにいるのか?とか、おなかが痛いとか大した痛みじゃなくねえ?とか、そもそも腹痛って英語だと stomachache だから pain じゃなくて ache なんじゃ?とか、そんな疑問が浮かんでくる余地を与えません。「ええっ、pain って腹痛かよ!?」と思っているうちに、ストーリーに引きずり込まれてしまうのです。
そんな琴実ちゃんは、少しでも男に慣れるため、出会い系サイトで男を引っかけてはせっせとメールに励んでいます。このことは親友の紗希ちゃんにも秘密です。なんでだか知りませんが。

ださすぎる部屋着がリアル。メールで「私これからお風呂入るね」「一緒入っていい?なんてな」とかやりとりして、「付き合うってこんな感じなのかな」などと頬を染めとります。まあ、男ってアホですからね、すぐこういううざったいこと云ってくるんですよね。頬を染める必要はないんじゃないかと。
そしてもう一つ、上のコマで着目すべき点は、「出会い系で見知らぬ男(ひと)たちと/メールのやりとりしてる」という部分。特に最後の「メールのやりとりしてる」の部分で、本来ならあるべきはずの助詞「を」が省略されていることに注目。この助詞の省略によって、文章が J-Pop の歌詞風になっていると気づいた人は鋭い感性をお持ちです。こういう J-Pop 風な言い回し、パステルには頻出です。出てくるたびに頭くらくらします、かっこよすぎて。
そんな琴実ちゃんにも、好きな男はいます。親友である紗希ちゃんの彼氏、圭人(けいと)くん。ではなくて、その圭人くんの友だちである裕也(ゆうや)くんです。この圭人くんと裕也くんはしょっちゅう一緒にいるので、一応は琴実ちゃんとも面識があるのですが、なんたって視線を感じると腹が痛くなりますからね、いつもこそこそ陰から様子を窺うのみ。そんなんでどうやって恋愛感情が抱けるんだかさっぱりわかりませんが、恋愛してくれないことには話が進みませんので、そこには目を瞑りましょう。
当然のことではありますが、いつも自分たちといるときは黙っている上、さっさとどこかへ避難してしまうので、裕也くんたちは琴実ちゃんに嫌われてるんだと勘違いしてます。これは琴実ちゃんにとって、非常に困った事態です。そこで悩んだ挙げ句、思い切って琴実ちゃんは挨拶から始めることにしました。
噛みかたがすさまじいですね。「ご」て。さすがの裕也くんもぽかんとしてます。「ごこん?」とか云って。冷や汗だくだくの琴実ちゃんはその一言を残して退散。もう何がしたいんだかわかりません。
しかし、災い転じて福となす。金網に向かってがしゃんがしゃん自己嫌悪に陥る琴実ちゃんの話を聞いた紗希ちゃんが裕也くんとのデートをセッティングしてくれることに。いやはや、世の中、捨てたもんじゃないすね。目を合わさないデートとか、傍から見たら仲が悪いとしか思えません。
まず向かった先は映画館。これなら目を合わさなくて済みますからね。ま、目を合わさなかったお蔭で、裕也くんはずんずん先に歩いていっちゃったりしてますが、琴実ちゃん気にせずワクテカで恋愛映画を選び、「そっと手握るのに…ちょっとあこがれてて…」とこっそり手を握ろうとしますが、裕也くん爆睡。恋愛に興味なし、という感じのポーズがたまりません(恋愛に興味ないキャラなんてパステルのマンガには出てきませんから)。
しかし、ここでも再び災い転じて福となす。「でも寝顔なら堂々と見つめられるし…」と凝視です。
続いて食事をしに行きます。映画を観ただけなのに既に真っ暗です。もんのすごい短いデートですね。目を合わさないためにラーメン屋に向かうのですが、今回は裕也くん「見ないで歩くと俺… 気づかないでおいてくから… ////」と明後日の方向みながら頬を染めて手を差し出してきます(なお、科白の最後にある「////」は、何らかの感情を表現する際に助先生が多用される技法です)。ど、ど、ど、童貞かおまえは!!!と云いたくなる光景ですが、目を合わせちゃいけないんだから仕方ありません。ええ、仕方ないんです。童貞じゃないんです。
だから、そんなキモい行動を見ても、琴実ちゃんは「何も言わないのに…」「どんなメール交換するより恋愛気分強くて…」「やっぱリアルにはかなわない!!」 きえー。名言 ktkr。
帰り道、琴実ちゃんは裕也くんにこんなことを訊かれます。「あ…のさ、俺の気のせいじゃなければ…学校でよく瞳(め)合わなかった?」「でも…腹痛おこす琴実ちゃんが…視線合わせようとするはずないか…」「俺の勘違いだな」と、最終的に長い独り言になるあたりもなんだかちょっとキモメンですが、まあ、なんつーか、訊いてみたものの勘違いっぽくて恥ずかしく思った、というのはよ~くわかります。ありますよね、人間そういうこと。
まあでも、実際には想いを寄せる琴実ちゃんが陰からこそこそ見てたから目は合ってたわけでして、「見てたの!」と、なんで見てたかなどなど告白するわけです。はい、うまいことまとまりましたね。ということで決め科白が来ます。
だだだ誰に訊いてんだよ!!! こういうストレートじゃない告白を聞くといらいらします。「だめに決まってんだろ!」とはっきりきっぱり引導を渡してやりたい。何が厭って、微妙に胡麻化してるトコですよ。「好きだから付き合ってくれ」って云やあいいじゃないですか。断られても「あー、だめか、ハハハ」とか笑って胡麻化すための逃げ道をあらかじめ作ってるみたいで腹が立ちます。こんな告白、女性の側からしても嬉しくないと思うんですが。
と、私の個人的な好き嫌いは全く考慮されるはずもなく、琴実ちゃんは目をそらしつつドキドキ。抱き寄せられて「いつか見つめあえたらいいよな」とか云われちゃってます。くぁ~っ。
後日、学校帰りの琴実ちゃんはマクドナルドにいる裕也くんから「一緒に帰ろう」と電話を受けます。ものすごい余談ですが、琴実ちゃんは鞄の中の携帯がブルルルと揺れただけで「裕也君!」と察してます。私、携帯もってないんですけど、そんなことわかるもんなんですか? 着信音が別にしてある、とかならわかるんですが、バイブですよバイブ。いや、まあ、できるんですよね、きっと。友だちが一人しかいない、とかそういうテクニックでしょ?
同時に出会い系からもメールが 7 通ほど来ていたわけですが、それを見て「もう…知らない人たちとのメール…終わらせなきゃね」と思いつつ、マクドナルドへ向かう琴実ちゃん。が、しっかぁ~し、せっかくの前振りを使わないはずはなく、注文に行ってる間に紗希ちゃんの彼氏である圭人くんがメールを盗み読み。多量の男とのメールがばれます。うひょー。やってること最低だぜー。というフォローは一瞬しかされず、「男の視線で腹痛? 笑わせんなよ…」「本当はほかに何人の男がいるんだよ!?」とか詰め寄られます。圭人くんに…。
で、裕也くんたちの友だちから視線集中。都合よく琴実ちゃんはぶっ倒れます。裕也くんに家に運んでもらった琴実ちゃん、メールの件について釈明をして誤解を解きます。そしたらやることは一つですよね!! ええ、そう、皆さんお待ちかね 18 禁の世界ですよ!
私、いっつもパステル読んでるときはセックスシーンになるとぱらぱらページをめくって適当に流し読みしてしまうのですが、今回のはすごいですよ!
ぶげー! いきなり目隠しプレイか!! 処女だっつってんのに、弱みにつけ込んですげえことしてんな…。ま、まさか、視線を感じると腹が痛くなるって、目隠しプレイ描くためだけの設定なんじゃあ…。
で、琴実ちゃんは琴実ちゃんで「いつものお腹の痛みとは違って…」「裕也君が動くとだんだん嬉しくなってく…」「不思議な痛み」「愛の痛み…」とかって、またも J-Pop 調で余裕の処女喪失。めちゃめちゃ痛いって話ですが、愛の力って偉大ですね!!!
ラストは紗希ちゃんに怒られた圭人くんが謝ってきておしまい。
続編も紹介したいところですが、長くなってしまうんで、見せ場だけをダイジェストでお送りします。
まず、薄目にすると見つめても大丈夫、という琴実ちゃん。

「こうやってね薄目でボヤかして見ると裕也君を見つめられること…」「CHU♥」「ええっ?!? 今…」「その顔は誘ってるっしょ」
こ、この顔に誘われるとは、お主、なかなかやるな…。キスの音がわざわざ英字なのもポイント高いですね。このあと、家庭教師のバイトの教え子にも同じ顔を見せてキスされ(音はもちろん、CHU)、「センセーばかだな。カレシ以外にそんな顔しちゃダメじゃん」とか云われます。お、おまえもかよ…。
さらに第 3 弾では、そのバイトの教え子だった祥くんが主役になります。16 歳だったのが 20 歳になってますから、なんと 4 年後のお話。こういう続編って、最初ちょっと気づかないんで、気づいたときの嬉しさは格別です。
飲み会に行こうとしたところ、偶然にも琴実ちゃんを見つけ、久しぶりに一緒に飲もうと飲み会から抜ける祥くん。それを追っかけてきた彼女の「あ…のね ふたりで…どこ行くつもりだったの?」という問いに「いやふたりちゃうよ」と答えるのがすごい。なんで急に関西弁やねん。こういう、急に変な言葉遣いを混ぜるという手法は助先生がたまに使う技で、一瞬にして場の空気を異化する作用があります。何の役に立ってるのかさっぱりですが。ひょっとしてギャグ? 彼女の「あ…のね」という謎の区切りを持つしゃべりかたも助先生の得意技。第 1 話でもありましたね、裕也くんが「あ…のさ」と云ってるシーンが。「…」を多用するからって福本伸行のパクりには全然なってないところがさすが。この回はそういう助先生の表現技法が学べる嬉しい回でした。
尻切れトンボみたいになってしまいましたが、以上が Love & Pain の総てです。皆さまに助先生の魅力が伝わりますように。ではまた次回。
| 固定リンク
「助知奈」カテゴリの記事
- Love & Pain(2008.07.15)




コメント